私的な時間

2024.02.23
私的な時間

思い出

先日、春の高校野球選抜校が発表された。

まだまだ寒いが、この春の選抜が開催される頃には、すっかり春である。

幼少期に住んでいたお家は駅からバスで10分くらいの所にあった。

小学校から高校を卒業するまで、ずっとこのバスにお世話になっていた。

いつも学校からの帰りのバスターミナルで、甲子園出場校の野球部のお兄ちゃん達も使っていた。

大きな荷物を抱え真っ黒に日焼けしたお兄ちゃん達はいつもバスの中で、大きなお弁当を食べていた。

私は本を読みながら、じとーと横目でお兄ちゃん達が食べているお弁当を食べている姿を見ていた。

ある日、いつも通りお兄ちゃんがお弁当を食べようと蓋を開けて食べてようとしていた

その時!!

ものすごく大きな声で

「やったー!!イチゴ入ってるーーーー!!」

その告白に廻りにいたお兄ちゃん達も

「ええーーー!!いいなぁーーーイチゴ」

そして、私も心の中で

「いいなぁーーイチゴ」

そう、バスの中でイチゴが入ったお兄ちゃんに羨望のまなざしが向けられた瞬間であった。

イチゴ兄ちゃん(仮)は、高らかに

「イチゴ最後に食べるーーーー」

とまで宣言し、バスに乗っている乗客全員を敵に廻していた(私も、もちろん敵である)

小学校から12年間ほぼほぼお兄ちゃん達と帰っていた為、今でも高校野球を見ると

がんばれ!!お兄ちゃん!!

と、もう息子でもおかしく無い高校球児を見て思う。

そして、スーパーにイチゴが並ぶと

あの、イチゴのお弁当のお兄ちゃんを思い出す。

イチゴのお兄ちゃん元気かな?

って毎年思うと同時に、自分の息子が甲子園で4番ピッチャーで出場しても

「お腹いたい」と仮病を使って一度も甲子園に応援に行かなかった知り合いのおばちゃん

を同時に思い出す。

個性あふれた人たちと過ごせた幼少期であったと、今は思う。