副理事長挨拶

2024年4月より、医療法人ラポール会の副理事長を拝命しました淺井昭雄でございます。この3月までは関西医科大学脳神経外科に18年間在職して多くの患者さんの診療に携わってきました。脳神経外科と聞くと、生きるか死ぬかの大変な病気を扱っている科と思い浮かべられる方が多いと思いますが、もちろんそのような病気もありますが、痛み(頭痛、三叉神経痛、後頭神経痛など)やてんかん、脊髄・脊椎疾患など、生死に関係のない疾患も数多く診療しています。私が医師になってから43年になりますが、この間を振り返ってみますと、科学技術の進歩にともなって医学が目覚ましく進歩しました。ヒトの遺伝子配列がすべて解明されましたし、様々ながんを引き起こす遺伝子も解明されました。また、様々な病気の原因も次々と解明され、その原因を根本から治す治療も数多く開発されています。脳神経外科領域も例外ではありません。おそらく、脳神経領域が最も進歩した領域と言っても過言ではないと思います。CT、MRIが発明されたことにより、脳、脊髄疾患の診断が格段に容易になりましたし、昔は知られていなかった病気や病態が次々明らかになりました。私が研修医をしていた頃、読んでいた教科書の厚みが、改訂を重ねて、今では何と10倍の厚みにまでなっています。また、診断だけでなく、それらの疾患の治療法も進歩し、私が研修医のときには、開頭手術を受けた患者さんの5%の方が亡くなり、3割の患者さんが何らかの後遺症を残していましたが、現在は、その1/10以下に低下して、安心して治療が受けられるようになっています。これは、脳の機能に関するたくさんの知見が蓄積されたのと、それらをモニターする機器が充実したのと、脳神経外科医の技量の向上が相まった結果だと思います。治療の低侵襲化も大いに進歩しています。たとえば開頭手術も内視鏡を使っておこなうことによって脳への影響を極力小さくすることができるようになり、また、頭を開けずに鼻の穴から治療できるようにもなっています。脳の血管の病気に対しては、そもそも頭を開けずに、カテーテルを使って血管の中から治療することができるようになっています(脳血管内治療)。脳梗塞、クモ膜下出血、脳動静脈奇形、脳あるいは頸部の主幹動脈狭窄等が脳血管内治療の対象になります。この治療は当院でも積極的におこなっており、良好な成績を出しております。
これまで述べてきました医学の進歩をフルに活用して、青山メディカルグループ(青山脳神経外科病院、青山病院、青山第二病院、藤ヶ丘病院、青山歯科クリニック)が一丸となって、柏羽藤地域の皆様に安全で質の高い医療を提供していく所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。